能登半島地震による金銀山関連文化財被害報告

史跡佐渡金銀山遺跡の保護・整備に関する専門家会議が、1月15日きらりうむ佐渡で開かれ、1月1日の能登半島地震で被害にあった文化財などについて報告されました。

佐渡金銀山遺跡の建造物の調査や保存活用について、専門家から意見を聞くために開催されている会議には、考古学や鉱山史などを専門とする大学教授や専門家、佐渡市の職員などオンラインも含め25人が出席しました。
はじめに東北芸術工科大学歴史遺産学科教授で座長の北野博司さんが能登半島地震に触れ、復興が優先されるが文化財の復旧も心の復興に関わってくる重要な案件だと挨拶しました。
その後事務局から、今回の地震で金銀山の関連文化財で被害にあった地区が示されました。被害にあったのは、相川金銀山跡、佐渡奉行所跡、大間地区、北沢地区、大立地区の5地区です。

史跡佐渡金銀山の第2駐車場内では、30cmから1mほどの落石3個がフェンスを突き破りました。現在佐渡金山の施設は、連絡橋の老朽化に伴う補強工事のため、3月中旬頃まで休業で人の立ち入りはほとんどないということですが、国の災害復旧事業などを視野に入れ対応する予定です。
佐渡奉行所跡では、壁の剥離やブロック擁壁にひびが入るなどの被害が出てました。
大間港にあるレンガ倉庫の屋根瓦やレンガの落石がありました。

シックナーのコンクリートが剥がれ落ちていることや大立堅坑の天井の一部が落下するといった被害も報告されました。
今後の整備の際に合わせて修復するほか、どう対応するかなどが話し合われていました。
北野博司座長「やはり史跡、建造物の被害があることを改めて教えていただきました。いずれも今後の整備事業の中で既に修理、あるいは、整備が行われる予定をしてるものの中で処理できる事例が多かったようですから、整備工事を止めて緊急に対応しなければならない要素は意外と少ないなと思って安心したところでした。具体的な修理方針は、今後の整備事業の説明の中でご意見をいただくことになります。」

北野博司座長「今回の被害を正確に記録し(世界遺産登録を見据え)文化財そのものの「継承」と「防災」この2つをバランスよく進めなければいけないので、持続可能な整備活用ということを踏まえ、個々にその両方のバランスを考えながら具体的な修理・維持管理をしていくことになると思います。」
その他にも、会議では、現在の相川郷土博物館、御料局佐渡支庁跡の耐震改修工事についてや、金子勘三郎家住宅の牛納屋の設計などについて協議されました。
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