手仕事の技術を後世に 菅笠を寄贈

佐渡市の無形民俗文化財に指定されている、両津地区秋津の菅笠製作技術の保存に努める市民団体が、3月5日に佐渡市に菅笠を寄贈しました。

菅笠の寄贈のため市役所本庁に訪れたのは、秋津菅笠技術保存会の笹本芳廣会長と島内唯一の菅笠の技術保持者の佐藤タカ子さんです。
両津地区秋津では良質な菅が取れる環境から、昔は農繁期以外の地域の主要な産業として菅笠製作を行ってきましたが、需要が少なくなったことなどから、現在は技術者が一人と技術の伝承が危ぶまれています。
そこで、その技術を後世に残そうと地域住民らが立ち上がり、2018年に秋津菅笠技術保存会を発足させ、佐藤さんを講師に1年で8回の菅笠講習を2019年から実施しています。

こういった積極的な活動や歴史的記録、貴重な手仕事の技術が認められ、秋津の菅笠製作技術として2021年4月に佐渡市の無形民俗文化財に指定されました。
また、保存活動に尽力してきた秋津菅笠技術保存会の初代会長池田雄彦さんが、昨年7月に亡くなり池田さんの功績を偲ぼうと、今回菅笠の寄贈が企画されました。
渡辺竜五佐渡市長は菅笠を受け取り、菅笠の細やかな手作業や竹や菅、糸のみで作られる、SDGsに配慮された作りの素晴らしさについて言及したほか、その軽さなどに驚いていました。

保存に向け菅笠作りのワークショップなど、定期的な活動を行っている会ですが、多くの作業工程がある中で工程ごとに佐藤さんが技術者を認定していく方針だとしています。
笹本芳廣会長「これからも講習会続けて行きたいと思います。島内いろいろな地域の方々が是非その技術を身につけたいと言ってわざわざ来てくださる方も増えています。秋津だけでなくて、佐渡市内の皆さんの中で育ててもらえばと思っております。」
今回寄贈された10の菅笠は、世界遺産に関連した金の道を歩くイベントや奉仕活動などで活用されます。
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