地質学から佐渡の魅力を学ぶフォーラム

佐渡ジオパークと関連した研究などの成果発表が、このほどアミューズメント佐渡で開催されました。

この佐渡ジオパークフォーラムは、佐渡ジオパークと関連した研究成果やこれから論文で発表される最新のデータなども紹介されるもので、昨年から開催されています。今回は、中高生を対象に今年度発足したSadoGeoClub(サドジオクラブ)の活動報告を含め島内外から6つの研究成果が発表されました。
はじめにのSadoGeoClubメンバーが「知られざる佐渡~ジオの魅力~」と題し、代表の中学生3人が夏休みを利用し現地調査などの7回の活動を踏まえた報告を行いました。
SadoGeoClubの発表「佐渡島はもともと海底に沈んでいました。長い時間をかけて海底が持ち上がり1,000mを超える山となりました。その隆起量は4,000mにもなり、富士山の高さを超えます。」

SadoGeoClubの発表「佐渡島はこの図のように海底が横から圧縮され、大地が押し上げられて島になりました。このような隆起運動は大昔から現在までずっと続き、大佐渡山地のような高い山ができました。」
また、通常2,000m級の山にしか見られない高山植物が標高1,172mの金北山に生息している理由など、調査し驚いた内容を発表しました。
ジオパーク推進指導員の相田満久さんは、国の天然記念物に指定される、相川地区平根崎海岸にある円形の穴「波食甌穴群」の研究を報告しました。

波食甌穴(はしょくおうけつ)とは、岩石面の小さなくぼみに入った小石などが波で動き、岩を削り出来た穴です。平根崎海岸の波食甌穴群は、およそ500mにわたり直径数十センチから巨大なもので直径2mのものや深さ3mに及ぶ穴が78個あり、国内最大規模で数の多さでは世界有数の場所です。
相田さんは、穴の出来方や位置関係の違いから、平根崎の甌穴群は2つのグループに分けられ、別の時代に穴が形成されたと想定。海水面の高さの変動時期などと照らし合わせ、おおよその形成年代を特定しました。
そして、そのことから6千から5千年前の縄文時代は、現在に比べて海面が5mほど高かったことや、その後寒冷化が進み海面が下がっていったことが想定され、気象変動をイメージできる貴重な場所だと研究結果を発表しました。

また、佐渡市や中魚沼郡津南町の学芸員が小木でも出土する縄文土器の材料に着目し、地域特有の砂の成分を調べることで縄文人の移動の足跡などがたどれるのではないかと大学や研究室など8機関で行う共同研究の過程を報告しました。
その他にも、2,500万年前、日本海誕生以前の土地に堆積しできた地層が残る相川地区関には、保存の良い多くの植物化石が見つかっていて、日本列島が大陸の一部だった時代の森林植生を示す証拠であり、佐渡は世界に誇る地質遺産が存在する島であるなど紹介されました。
訪れた人たちは佐渡が形成されるまでの地質の痕跡を通し、佐渡の魅力を学ぶ時間を過ごしていました。
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