高齢者を食の面でサポート「食工房さわた」

高齢化が著しい佐渡では、特に冬の期間は外出がしにくいという高齢者も多くいます。そんな高齢者を食などの面からサポートしたいと活動を続けるボランティア団体を取材しました。

ビュー佐和田となりの中山間地活性化センター調理室で手際よく作業をしているのが「食工房さわた」のメンバーです。
食工房さわたでは毎週月曜日、ひとり暮らしなどの高齢者向けにお弁当を手作りしています。
20年ほど前に、農産物の規格外品などを活用しようと農家が中心になり設立された食工房さわたは、当時は20人以上のメンバーで地元の農産物を使った味噌や缶詰、お菓子など様々な加工品作りに取り組んできました。

しかし、高齢化などでメンバーが減り、現在は加工品作りはやめ、数人のメンバーで買い物や料理などがしにくい地域の高齢者に向けたお弁当作りを続けています。
メンバー「ひとり暮らしで困っているから助けてあげようかと思ってやってます。」
食材には旬の地場産物をふんだんに使い、栄養面もサポートできるように栄養士にアドバイスもらったり、季節を感じてもらいたいとバレンタインやひな祭りなど、年中行事に合わせたメニューも考えます。

年金で暮らす高齢者にも、無理なくおいしいお弁当を食べてほしいと、価格は数百円と安価に設定しているため、メンバーの作業はボランティアです。使う食材も予算内で懸命にやりくりしています。
コロナ禍や大雪など自分たちが外出しにくい環境でも、そういった時だからこそお弁当を待っている人がいると、コロナ禍でも活動を続けてきたそうです。
メンバー「自分たちの生きがいかもしれないですね。どういう風にして加工しようかな。みんなに喜んでもらえるかなっていう真心のこもったお弁当を作るのが生きがいです。」

この日は驚くほど手際よく2時間半ほどで数十個のお弁当が完成。
11時前には、配達を担当する食工房さわたの会長清水紀治さんがやってきて、お弁当を箱に詰めると車で配達に出発します。
週1回のお弁当の配達が楽しみで待ちきれないというように、中には道路前まで出て待っている高齢者もいるといいます。お弁当を希望する高齢者は、ひとり暮らしの人が多いそうで健康確認の意味を込めて会話をすることを心がけているそうです。

利用者「お話もできますので非常にありがたいです。冬になると大変なのに、温かいものがお昼に食べられまして非常に助かっております。」
短い時間ながらも、コミュニケーションを大切にしているという清水さん。そこにはある思いがあります。
清水紀治会長「弁当屋じゃないから。俺たちはボランティア団体だから。心が通ってないことをやったってダメだ。それが私の信念だよ。」

現在77歳の清水さん、これまで体調を崩すなどして配達を休んだことは無いそうで、待っているひとのため、日々の体力作りも欠かさないそうです。
栄養のある食事や心の交流から高齢者を支援するボランティアを続ける食工房さわた。「おいしい」「待っている」という利用者の声を励みに、今後もできるだけ活動を続けていきたいとしています。
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