【特集】渡辺市長1期目振り返り① 庁舎建設をめぐる動き

来年4月7日告示、14日投開票が決まった佐渡市長選挙。選挙まで5ヶ月あまりとなりましたが、渡辺市長の1期目で起きた出来事を「庁舎建設」「佐渡汽船」「世界遺産登録」などに焦点を当て3回シリーズでお送りします。1回目は、主に庁舎建設を巡る動きを振り返ります。

令和2年4月、現職を僅差で制し行政トップの座を射止めた渡辺竜五市長。5人が立候補し票が分散したため、支持層も決して盤石とはいえない船出でした。
まずは、前市長と議会の軋轢を生んだ新庁舎建設問題に切り込みます。防災拠点機能を備えた庁舎の必要性や、将来の行政コスト削減を市民に訴えるとともに、選挙でも支援に回った市議らを味方につけました。
6月には、庁舎整備の財源を想定した合併特例債の活用を検討する特別委員会の設置を議会に対し求めるなど下地を固めていきます。

7月には、その委員会から特例債活用のため、審議された庁舎整備計画の概要が示され、市民に対しても、8月後半に市内10か所で説明会が開かれました。
渡辺市長「庁舎の問題は、反対の方もいらっしゃいますし、賛成の方もいらっしゃいます。それぞれの意見をしっかり反映した上で、議会と相談しながらしっかりと意識を醸成し、合意しながら進めていきたいと考えております。」
そして9月議会、市民から寄せられた意見なども集約した上で、防災拠点機能を備えた新庁舎建設の方針を固め、市は関連予算を上程します。

渡辺市長「将来コストを全部計算した中では、やはり建てていくことが執行部の方針だと判断いたしましたので、次は我々が決めたことをしっかり議会で議論していただくということで、全員協議会でご説明させていただいたものでございます。」
連合審査などで審議を重ねた結果、賛成多数により全市長時代に一度頓挫した新庁舎建設が蘇りました。
生粋の行政マンである渡辺市長の手腕が、合併当初からの懸念事項であった庁舎整備を結実させます。

渡辺市長「合併特例債の期日もありますので、これから設計を入れてしっかりとスケジュール感を作りながら取り組んでいくという形になると思ってます。」
新庁舎建設の白紙撤回を要望した市民グループが、この後も住民投票の実施などを求め議会に訴えましたが、条例制定案が否決されるなど趨勢は変わりませんでした。
この年、もう一方の巨額投資案件である新両津病院の建設も動き始めます。

基本整備計画は公表されていたものの、建設予定地である両津文化会館の解体のために必要なアミューズメント佐渡改修の財源をめぐり、病院建設に関わる予算が見送られてきた経緯がありました。
年度の当初として可決された基本設計に関わる予算も、財源の裏付けや収支予測の検証などが不十分だとして執行が凍結されます。
議会と執行部の不協和音が原因ともされ、それが渡辺市長の就任により風向きが変わり、10月には縛りが解け本格的に建設がスタートします。

庁舎建設、病院建設など大規模な予算執行が伴う事業で、前市長が生んでしまった議会との絡まったひもを解きほぐしていったのも、渡辺市政の1年目を象徴する出来事でした。
最新情報をチェックしよう!