猛暑で佐渡島内の農業にも被害

梅雨明け以降、気温の高い日が続く県内では、暑さや水不足による農業被害が出ていますが、島内にもその影響が出ています。

佐渡は、先月21日の梅雨明け以降、およそ1ヶ月にわたり真夏日や猛暑日を記録するなど、近年類を見ない暑い夏を迎えています。
お盆を過ぎてもこの暑さは続き、私たちの食卓を支える農業にも影響が出てきています。
島内のスーパーでは牛乳売り場に変化が。佐渡乳業によりますと、連日の暑さで牛の体力が落ち通常1日3tほど生産される生乳が、今年はおよそ1割減少しているといいます。

赤泊地区徳和で20頭の牛を飼育する外内和久さんも、猛暑による影響を感じていました。
酪農部会の外内和久会長は、夜間も気温が下がらない今年の夏の高温現象は、これまでに経験が無いと話し、牛の体力低下による牛乳生産量の落ち込む現状を危惧していました。
暑さで牛の食欲が落ちていて、栄養を取ってもらうため餌の配合も変えて対応しているという外内さん。例年通りの換気扇、ミストの稼働に加えミスト用の水を冷却する機械も常時稼働させていて、電気代などの面でも不安を感じていると言います。

8月から飲用向けの乳価が値上げされたものの、コロナ禍前と比べ飼料代が1.5倍に高騰し、高温による牛乳生産量の落ち込みと電気代の負担増が加わり、外内さんは、経営環境悪化による先行きに不安を口にしていました。
例年牛の免疫力が低下する10月から11月にかけて事故などが非常に多く発生することから、異常高温が続く今年は、さらにそのリスクが高まり、この暑さが落ち着いても生乳の量に回復の見込みはないと外内さんは話していました。。
来週からは、佐渡牛乳を提供している島内の小中学校での学校給食も始まります。学校給食には、1日およそ800kgの牛乳が必要となることから、今後さらに一般家庭向けの牛乳の提供が減少する恐れがあります。

また、この高温は稲作にも影響を与えています。梅雨明け以降、島内ではほとんど雨が降らない状況が続き、島内の農業用ダムでも貯水率の低下が見られていますが、JA佐渡は高温が続くことが稲に大きな影響を与えていると話します。
高温が続いたことで田んぼに水を入れたとしても、例年よりも水の蒸発が早く、慢性的に土が乾く状態が続き、稲が枯れてしまう圃場が出てきています。
また、水を十分に張った田んぼでも、日中に高くなりすぎた水温が、夜になっても下がらないため稲が休むことができなくなり品質に影響を及ぼすと言います。
さらに心配されるのは、被害が出た時の補償です。農業共済の補償は、田んぼ全体に被害が及ぶ場合が対象となりますが、今年の猛暑による被害は、田んぼの一部だけに出ているケースも見られ、補償の対象外となる場合が出てくるということです。

また、JA羽茂によりますとおけさ柿は、雨不足により肥大の進みが鈍くなっていて、日焼けによる被害が例年より多く、収穫量に影響が出ると懸念しています。
また、夜の気温が下がらないため、着色も遅く収穫時期が遅くなる可能性もあるとしています。
新潟地方気象台によると、県内は8月28日以降、比較的雲の多い天気と予想していますが、依然として気温が高い状態が続くと見込んでいて、さらなる農業被害の拡大が懸念されています。

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