大学と地域が連携した地域づくり報告会

地域課題の解決や賑わい創出を目的に、大学と地域が連携して取り組んできた活動内容の報告会が、このほどあいぽーと佐渡で開かれました。

佐渡市は人口減少に伴い、集落運営や伝統芸能の継承が困難になるといった地域を盛り上げるため、地域と大学等との交流を通し、若い力で賑わいのある地域づくりを応援する事業を実施しています。
今年度は、15大学から21のゼミや研究室が事業に参加し、そのうち芸能をテーマに活動した上越教育大学や、大正大学、上智大学など5つの大学の報告会が2月18日に行われました。
初めに上越教育大学の玉村研究室が真野地区椿尾で行った研修について報告に立ちました。

学生は、伝統は不変かという疑問を投げかけます。そして、後継者不足といった課題を挙げ、伝統芸能を守るため近年では女性の参加やコミュニティ以外からの受け入れを行うなど、伝統芸能は常に現実との折り合いの中で維持され発展してきたものではないかなど、学生なりの結論を出していました。
続いて、観光は地域生活にどのような影響を与えてきたかなどをテーマに、相川地区達者で活動を行った獨協大学鈴木ゼミの発表が行われました。
達者は、かつて遊覧船などの観光が盛んでしたが、夜間観光への注目によりナイトカヤックなどによるマリンスポーツへ変容していったことや、カフェができたことで観光客が長い時間地域内に滞在でき、新たな観光価値が生成されたと分析しました。

相川地区高千と羽茂地区で地域交流を行ってきた相模女子大学では、鬼太鼓や能を体験した学生からその時の気持ちや地域との関わりについて報告がされました。
学生たちは、鬼太鼓を体験することで、受け継がれてきた芸能の大切さを知ったり、厳しく指導してもらったことで、能の迫力がすごいものだと感じたと体験を通しその魅力を感じていました。
そのほか、鼓童とつながりのある大正大学 太鼓部が鼓童とともに小木港祭りに参加した経験から祭りがもたらす賑わいの創出などについて学生たちの想いなどを語りました。

最後に上智大学の田淵ゼミの学生が地域の文化を学ぶため、八幡の鬼太鼓、豆まきに初めて参加した様子や太鼓練習での成果を披露しました。
また、学生は鬼太鼓の種類などを調べたほか、門付けなど地域の人の家に上がらせてもらうなど初めての体験を通し、八幡の祭りは強制力のあるものではないが、地域や世代を超えた関わりが存在し、伝統の硬いイメージより伝承という言葉が合致するのではと感想を述べていました。
そのほかに、大学を受け入れた地域住民も登壇しました。高千の住民は、相模女子大学と15年という長い時間をかけ信頼関係を築いてきました。その中で学園祭に高千ブースを出店するなど、島外で常連のお客さんができて地域をPRできていることが報告されました。

また、八幡の住民は、大学生が参加することでこれまで行ってきた祭りに新たな賑わいが生まれたことや発見もあったと話しました。
学生や地域は、事業に参加したことで伝統芸能の新たな魅力やその力について考えるきっかけになったようです。
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