県民会議 世界遺産委員会に向け官民一丸

官民が参画する佐渡金銀山世界遺産登録推進県民会議の令和6年度の総会が6月22日新潟市で開かれ、登録まであと一歩と迫る中、来月インドのニューデリーで開催予定の世界遺産委員会の審議に向け、国や県、佐渡市が改めて連携し一丸となって取り組む姿勢を示しました。

自治体の代表や議員のほか、産官学の関係者ら過去最多の296人が参加した総会では、まず共同代表の花角英世新潟県知事がユネスコの諮問機関、国際記念物遺跡会議イコモスによる5月の勧告の内容を踏まえた上で「世界遺産登録は県民の長年の悲願 その実現は目の前まで来ている 7月の世界遺産委員会に向け総力を結集して登録実現を目指す」と力強い挨拶をしました。
続いて、登録に向けた現状報告が県の担当者から行われ、イコモスによる評価結果を述べ情報照会勧告で求められた内容に世界遺産委員会構成国に理解してもらえるよう、適切に対応していくとしました。
それから、共同代表で新潟県商工会議所連合会の福田勝之会頭が提唱した世界遺産登録実現に関する決議案を全会一致で了承し、改めて登録実現に対する熱い思いを共有しました。
総会の後、新潟市歴史博物館みなとぴあの館長で佐渡金銀山世界遺産学術委員の坂井秀弥さんが「佐渡の金山のこれまでとこれから」と題した講演を行いました。
講義では新潟県や佐渡市の歴史や特徴を振り返り、登録までの歩みや価値などを述べ、資料を使いながら佐渡には多くの貴重なものが残っているとしました。
また、坂井さんは世界遺産登録において富士山や富岡製糸場と絹産業遺産群など、過去の世界文化遺産とその後の文化財保護について話し、世界遺産登録において文化財の本質とは、人々の営みを伝えることだと持論を展開しました。
そして、建物などで人が生活してこそ文化財となり意味があるため、町並み保存ではなく住民とともにまちづくりをすることで、あり方は変化していくのではないかと話しました。
日本考古学を専門とする坂井さんの話に、持続可能なまちづくりを目指し参加者も真剣に耳を傾けていました。
この後、佐渡の学校を中心に昨年19回おこなった出前授業や、古道トレッキングなど世界遺産登録に向け活動した成果報告を一般社団法人佐渡を世界遺産にする会の事務局長庄山忠彦さんが発表しました。
景観維持や美化活動など集落が一体となって取り組んできた成果を報告すると同時に、今後の課題として会員の高齢化が進んでいることや若者の興味関心が低いこと、登録後の会のあり方をあげています。
県民会議では、最後に渡辺竜五佐渡市長が壇上に上がり、ここに来るまでの感謝を述べ、悔いがないように駆け抜けていくと力強く決意を語りました。
佐渡の金山を巡っては、ユネスコの諮問機関であるイコモスが6月6日、最上位の評価「登録」ではなく追加情報を求める2番目に高い評価「情報照会」を勧告しました。
イコモスによる勧告では、北沢地区の資産範囲からの除外や緩衝地帯の拡大、そして商業採掘を再開しない約束の3つの情報照会が挙げられています。これを受け遺産登録に向け活動を展開していた関係者に戸惑いが広がりました。
こうした評価結果の対応を踏まえ、7月21日からインドで開催されるユネスコ世界遺産委員会で佐渡の金山の登録可否が審議されます。
最新情報をチェックしよう!