佐渡市発掘調査振り返る講演会

これまで佐渡市で行われた発掘調査について振り返る講演会がこのほど開かれ、新潟県において埋蔵文化財調査や研究の本格的な幕開けとなったとされる「千種遺跡調査」の貴重な価値などが示されました。

この講演会は佐渡市の市制施行20周年を記念し、これまでの発掘調査の歩みを振り返る企画展の一環として行われたものです。
佐渡市の埋蔵文化財担当者から佐渡市発掘20年の歩みと調査成果が報告されました。
合併後20年間に史跡の範囲確認調査や開発事業に伴う発掘調査を実施した14か所の遺跡が年次順に説明されます。
調査結果からは、国仲平野中央から西側の沖積地に弥生時代から古墳時代の遺跡が立地している傾向が見られたとしました。
このことからこの時代は、水運を利用するため小さい潟や主に真野湾に注ぐ国府川水系の河川付近に集落が立地したとされています。
続いて考古学が専門の明治大学文学部石川日出志教授が1952年に行われた千種遺跡の発掘調査について、その貴重な価値の一端を解説しました。
石川教授は、今から72年前に国府川改修工事中に発見され、発掘調査が行われた千種遺跡について全国から注目された経緯を説明します。
弥生時代を象徴する矢板列や、おびただしい木製遺物と土器群が見つかった成果を強調するとともに、その発掘調査に情熱を傾けた関係者を紹介しました。
当時は調査費の調達もままならない中、島内では佐渡古代文化研究会の近藤福雄氏らが尽力。國學院大学の大場磐雄氏などが出張費を大学から捻出し調査研究を続けました。
そして、ようやくその成果が認められ新潟県が公費を支出するなど、戦後の考古学埋蔵文化財調査の本格的な幕開けとなったのが千種遺跡だったとします。
敗戦直後に行われた静岡県登呂遺跡で出土した遺構が、国民の関心を集めていたことも千種遺跡調査の追い風となったとしました。
石川教授はこれからの埋蔵文化財の保存活用についても触れ、行政が一元的に管理していた時代から保存管理を行政がおこない、活用の主役は市民、そして専門家がオブザーバーに立つ三位一体へ移行されると持論を展開しました。
来場者は千種遺跡にまつわる興味深い話に引き込まれていました。
講演でも触れられた遺物などが展示される佐渡市制執行20周年記念企画展「佐渡市発掘20年」は8月18日(日)まで新穂歴史民俗資料館で開催されています。

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