【特集】渡辺市長1期目振り返り② 佐渡汽船をめぐる動き

来年4月7日告示、14日投開票が決まった佐渡市長選挙。選挙まで5ヶ月あまりとなりましたが、渡辺市長の1期目で起きた出来事を「庁舎建設」「佐渡汽船」「世界遺産登録」などに焦点を当て3回シリーズでお伝えしています。2回目は、佐渡汽船を巡る動きを振り返ります。

令和2年春から国内でも感染が広がった新型コロナウイルス感染症。ワクチン接種も含む感染防止対策や、感染拡大により経営危機に陥った飲食店や事業所への支援に追われた1期目でもありました。
そのコロナは、市民にとって重要な生活の足である佐渡汽船にも多大な影響を与えます。
従来から赤字路線であった小木直江津航路の輸送実績が大きく落ち込み、その対策として高速カーフェリーあかねの売却方針が令和2年7月、佐渡汽船から打ち出されました。

尾崎弘明社長(当時)「小木直江津航路の運行形態について当社といたしましては、収支の改善のために現在運行しております『あかね』に変えて、ジェットフォイルを導入させて頂いて改善を図りたいと考えています。」
渡辺市長は、カーフェリー2隻体制に強い危機感を抱き、冬場を中心とした安定的な輸送体制を維持するため、将来的な3隻目のカーフェリー導入を強く求めました。
渡辺竜五市長「佐渡汽船の経営をまず安定させなきゃいけないということも、十分理解はしておりますが、市民の皆様が冬でも必ず新潟に渡れる、また産業をやる方の荷物も必ず新潟に行く体制をどのように維持していくか、公共交通機関としての役割をどう維持するかというところのお願いをずっとしているところでございます。」

その年の10月、最終的に新潟県や佐渡市、対岸の上越市及び佐渡汽船の4社トップ会談で、航路維持のため「あかね」の売却を容認します。
しかし、経営危機は去っていませんでした。会談の席上、佐渡汽船は今期の債務超過額がおよそ24億円となり、劣後ローンを借り入れても14億円不足する実情を吐露。コロナ禍による経営不振を訴え、公的支援を求めます。
尾崎弘明社長(当時)「債務超過の解消については、やはり佐渡汽船だけでは限界がありますので、行政支援のお願いを申し上げた次第でございます。」

11月、花角英世知事が佐渡汽船に対する支援の必要性に言及し、その方針を受けて佐渡市も増資による支援を検討し、3億6千万円の支援をすることに。
渡辺竜五市長「債務超過を防ぐために県が一歩大きく踏み込んだということで、自治体としてもできる範囲までは取り組んでいきたいと考えています。補助ということではなくて、増資ということで、佐渡汽船とこれからの経営や、窓口サービス等についても我々の方から提案をしていきたいと考えているところでございます。あくまでも市民のための航路であるということを認識して、その上で取り組んでいきたいと考えております。」
令和4年には、地方公共交通の再生に実績のある道のりホールディングスの傘下に入った佐渡汽船。

その年の7月、要望の強かったカーフェリー3隻目の導入方針を決めた上で、初年度からの3ヶ年で想定される赤字の支援を新潟県や佐渡市に求めます。
佐瀬浩市県交通政策局長(当時)「佐渡汽船からは、いわゆる中古カーフェリーの購入改造に伴う減価償却費を含む就航後3年間の航路損益が大きな赤字になることから支援要請がございました。」
航路維持を最優先課題と捉えた県と佐渡市は、国の交付金を活用するなど実質負担を極力少なくした上で支援に踏み切りました。

今年4月に就航した「こがね丸」は、順調に実績を伸ばしているものの、両津新潟航路において、カーフェリー2隻がドック入りする冬の期間の就航については、定期ダイヤへの取り扱いをめぐり市議会と佐渡汽船で見解が分かれ、火種がくすぶっています。

最新情報をチェックしよう!