世阿弥ゆかりの寺で ろうそく能

世阿弥にゆかりがある金井地区泉の正法寺で「ろうそく能」が開催され、訪れた人たちは幽玄の世界を楽しみました。

2005年に始まった正法寺ろうそく能は、佐渡に配流された能の大成者世阿弥を偲ぼうと「佐渡の能を知る会」などが主催しているものです。
今年も、ろうそくの明かりで舞う能を楽しもうと観光客などおよそ180人が来場しました。

はじめに舞台となる本堂を清めるため、僧侶らによる浄道場が行われ、その後芥川賞作家で世阿弥の人間像を書いた物語も執筆している藤沢周さんが、今回の演目「経正」について登場人物の背景や物語を分かりやすく解説しました。
そして、ろうそくの明かりのみとなった舞台で琵琶による祇園精舎が演奏されると、その場の空気が一変、訪れた人たちを幽玄の世界へと誘います。
今回の演目「経正」は、源平の戦いで命を落とした平経正を供養しようと、僧が琵琶を演奏すると、経正の霊が現れ舞うという物語で、経正を演じるのは観世流能楽師で重要無形文化財総合指定保持者の松木千俊さんです。
この演目は、能の中でも武将の霊を主人公に修羅道に落ちた苦しみを表現する修羅物に分類されますが、経正は武勇だけでなく琵琶の名手として名を馳せるなど、平家一門の中でも芸術の才に秀でていたことから、優美な舞が特徴となっています。
観客は、ろうそくの明かりにより作り出された幻想的な舞台を前に、物語に引き込まれていました。
公園終了後には、正法寺所蔵の県指定有形文化財「神事面べしみ」も公開されました。世阿弥が干ばつの年に、この神事面をつけて舞ったところ大雨が降ってきたと伝わるもので、「雨乞いの面」とも呼ばれています。
来場者は、住職の説明に耳を傾けながら、世阿弥ゆかりの地で、佐渡の歴史・文化の奥深さを感じていました。

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