三県知事会議が佐渡で初開催

隣県の知事が、共通する課題や連携について話し合う「福島・山形・新潟三県知事会議」が、7月19日、20日の2日間、佐渡市を会場に開かれました。頻発する自然災害への対策や総合的な交通ネットワークの形成について、三県が連携を強め財源措置などを国に要望していくことを確認しました。

隣接する三県による知事会議は、今年で27回目を数え共通する課題への対策や連携などについて協議してきました。今回は新潟県が幹事となり、初めて佐渡市を会場に開催されました。
2日目の7月20日は、あいぽーと佐渡で福島県の内堀雅雄知事、山形県の吉村美栄子知事、そして新潟県の花角英世知事が出席し、東日本大震災の避難者への支援や風評被害対策、高規格道路や鉄道などの交通ネットワークの形成など、三県がともに抱える諸課題を話し合いました。

東日本大震の対応として福島県はもとより、いまだに多くの避難者を抱える山形、新潟の両県も、心のケアに重点を置いた支援を行っていることを報告した上で、原発事故による風評被害の払拭とともに国からのさらなる支援を求めました。
昨年8月に発生した豪雨災害により、寸断された新潟山形を結ぶ鉄道「米坂線」についても、総合的な交通ネットワーク形成を協議する中で早期の復旧が求められました。
花角知事からは、JR東日本に対し、インセンティブが与えられるような災害復旧制度の改善や地元負担に対する国の考え方を改めて欲しいといった意見も出されました。また、経営難が指摘される、ローカル鉄道についても、国策としてどう維持していくのか検討するよう国に求めています。

一方、頻発激甚化する自然災害への防災・減災対策については、国に対しハード・ソフト両面での安定的かつ計画的な予算措置を強く要望しました。
このほか、農林水産業における物価高騰対策や、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みなど協議は多岐に渡りました。
花角知事からは、医師不足、及び、地域間偏在の解消に向けた取り組みについても指摘がなされ、実行性のある制度構築や県が行う医師確保対策への財政支援を国に対し要望していく必要があると呼びかけられました。
花角知事は、防災・減災国土強靭化対策がいかに重要かという点では、三県で共通認識を持てたと述べ、その中でも、米坂線の復旧については、山形県としっかり連携し、早急な復旧を目指して取り組みを進めていかなければならないという認識を持てたというところは、大きな意義があったと述べました。また、医師の偏在対策については、制度的に問題点があるとしながらも、しっかり国に働きかけていくことが必要だという共通認識を持てたと述べ、多岐に渡って成果があった三県知事会議であったと述べました。
また、花角知事は7月19日に島内視察で訪れた企業支援の拠点施設についてもその成果に触れ、佐渡市が取り組んでいる企業誘致や若い世代のUターン、Iターンの中心となり、最前線で活躍している人物との意見交換は、両県にとっても意義のある視察でになったのではないかと感想を述べました。

初日19日の視察では、世界文化遺産登録を目指す佐渡金山にも知事3人が訪れています。
佐渡金山の成り立ちや金銀の採掘及び、製造過程など佐渡市の担当者の説明に熱心に耳を傾け文化的価値を肌で感じているようでした。
内堀福島県知事は、「歴史的、文化的に非常に意義のある金山の存在、そして世界遺産として国内外で有名な地、佐渡にとって非常に重要な意義存在の象徴になっているなということを感じています。これから地方創生進める上でもこういった地域の宝を是非育てて、また、多くの方に発信していく。それを福島県でも是非学びたいと思います。」と金山視察の感想を述べました。
吉村山形県知事は、「実際に来て、江戸時代に働いていた現場を見せていただきまして、佐渡の歴史を本当に身近に感じました。佐渡はすごい歴史を持っているなと思いました。世界遺産になるといいなと思っています。」と金山視察の感想を述べました。
吉村山形県知事の発案で決まった今回の佐渡視察。三県の知事が喫緊の課題に対し、顔を突き合わせ協議していく中でより連携を強め、国に対し支援を働きかけていくことの重要性が再認識されていました。

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