島内最古とされる能舞台で薪能

島内に現存する能舞台としては、最も古いとされる真野地区竹田の大膳神社で5月2日、薪能が行われ多くの観客が能の幽玄の世界を楽しみました。

大善神社の薪能は、大膳神社薪能実行委員会と佐渡市、アース・セレブレーション実行委員会が毎年6月に開催しているものです。5月2日は心配された雨も夕方には止み、会場には観光客などおよそ200人が詰めかけました。
大膳神社の能舞台は1846年に再建されたものですが、能が演じられた記録をたどると1823年までさかのぼることができ、島内に現存する30以上の能舞台の中で最も古いとされています。
午後7時前、真野能楽会による仕舞が終わると、舞台脇に設置された2つ薪に火がくべられ、会場は幻想的な雰囲気に包まれていきます。
火入れの後演じられたのは、佐渡鷺流保存会による狂言「竹子」。自分の畑に竹の子が生え喜ぶ畑の主と、隣の竹藪の持ち主が竹の子の所有権を互いに主張し争っていると、代官が仲裁に入り最後は相撲で決着をつけるという物語です。
鷺流狂言は江戸時代初期に始まり、一時は大蔵流、和泉流とともに三大流派として隆盛を極めましたが、明治28年に宗家廃絶された後は衰退の一途をたどり、表舞台から姿を消しました。
現在は佐渡市のほか、山口県山口市と佐賀県千代田町の3地区のみで伝承されています。観客は狂言ならではの滑稽な所作やセリフ回しに声を出して笑うなど楽しんでいました。
続いて真野能楽会による能「高砂」が演じられました。高砂は神が主人公となり、国土安穏や五穀豊穣などを祈願する「初番目物」に分類されるめでたい演目です。
物語は、阿蘇の神主友成が都へ向かう途中、播磨の国の名所「高砂の浦」を訪れ、そこで老夫婦と出会います。
老夫婦は、高砂の松と遠く離れた住吉の松は根で結ばれている夫婦のようなものと述べ、枯れぬ松の長寿や夫婦の仲睦まじさを説いた後、自分たちは松の精であると明かし友成を住吉に誘い姿を消します。
友成が住吉に着くと、住吉明神が姿を現し平和な世を祝福し颯爽と舞う場面が見どころとなっています。
観客は、薪の炎と暗闇に浮かぶ能舞台による幻想的な世界を楽しみながら、佐渡の文化の奥深さに触れていました。
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