小木地区の重伝建選定に向け調査報告会

重要伝統的建造物保存地区の選定を目指し、取り組みが進められている小木町で、このほど2か年にわたって行われた町並み調査の報告会が開催されました。

あゆす会館で行われた小木町伝統的建造物群保存対策調査成果報告会には、地域住民や調査に協力した関係者など、およそ90人が参加し調査の結果に耳を傾けました。

調査にあたった独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所の研究員からは、海運業で栄えた小木町の伝統的民家と地割について、その特徴などが報告されました。
江戸時代の開港から1802年に起きた小木地震までは、現在の本町通りを中心に町が栄えていったこと、内の澗と外の澗をつなぐ汐通しの堀切の開削と埋め立てが数回にわたり行われたことなどが資料に基づき伝えられました。
小木地震から明治大火までは、廻船業により栄え、問屋敷も開港当初の5軒から20軒に増え、現在の小木町の屋号に各地の国名が残るように全国から船や物資、人が行き交ったとされました。
そして、明治大火以降、現在までは佐渡国小木民俗資料館所蔵の建物届綴に記された間取りや建築年などをもとに町屋の変遷を説明しました。
一方、街並みの価値を見る上でも重要な要素となる地割や町割についてもその特徴が述べられました。地割は土地の区画で。町割りは土地が集積した行政区を指します。
小木町の地割や町割には、佐渡特有の隆起運動や地形の痕跡があり、その後の大火などによる災害復興といった歴史的変遷過程が明瞭に残されていることを稀有な事例として特徴付けました。
また、民家26件と社寺6件に行なった調査結果も示され、小木町の伝統的町家には、オモテニカイに座敷が設けられ、風待ちなどで滞留する商人などに利用されるなど寄港地としての特徴をよく表しているとしました。
最後に小木町の価値として開校当初から各時代の地形や地割の変遷過程が復元可能なことを上げ、街並みの保存活用等と特色を生かしたまちづくりを続けてほしいとエールを送りました。
佐渡市からは重要伝統的建造物群保存地区の選定に向けた目標スケジュールが示され、来年1月に国へ重伝建地区選定の申出を行うとしています。
今後は、保存地区範囲の検討や特定物件の同意取得などが必要となるため、地域住民への協力を呼びかけました。佐渡では、宿根木が県で唯一重伝建地区に選定されています。

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