景観を考える「にいがた美しいまちなみフォーラム」

5月28日、景観について考える「にいがた美しいまちなみフォーラム2023」が小木多目的集会施設あゆす会館で開催されました。

この「にいがた美しいまちなみフォーラム」は、6月1日の景観の日に合わせ県民に地域の景観について考えてもらいたいと新潟県と新潟県まちなみネットワークが年に一度開催しているもので、上越・中越・下越・佐渡を巡回し開催されています。この日は、町並みを保存活用している県内の団体や小木地区の住民などおよそ90人が参加しました。
はじめに全国町並み保存連盟理事長で千葉大学名誉教授の福川裕一さんによる講演が行われました。

福川さんは、まず講演のタイトルがなぜ「歴史的町並みはなぜ未来の町並み」なのかということについて触れ、間口が狭く奥行きが深い地形に建てられていた町家などの利点を紹介しました。
この町家が作られた当時は、高層階の建物を建築できないことから、宅地を細分化し同様の寸法で家が作られていることで、より多くの住居が建てられ人口の増加に対応したものです。
福川さんは町家の特徴として、同じ形状の建物が並び、各家で同じ位置に中庭を取り入れることで近隣の住宅への日当たりが確保され、密集した場所でも良好な住環境が実現したと言います。
そして、現代では、高層マンションやビルなどが立つことで日当たりが悪くなり、近隣住民が住みづらく出て行ってしまうなど、地域にとっても悪循環が生まれるのではないかと危機感を募らせていました。
また、コミュニティとプライバシーについても触れ、団地はドアを開けるとすぐにプライベートな空間が広がっているが、町家は長細い形状の作りから奥に行くほどプライバシーが守られ、地域住民とも良好な関係を築けたのではないか、そして町家のシステムが住みやすい地域を作っていくとし、これからの都市建築が目指していくものであると持論を展開していました。
フォーラムの後には、パネルディスカッションも行われました。
パネリストには重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定された富山県高岡市の土蔵造りの町並み山町筋の関係者と小木地区の宿根木を愛する会の代表、そして重伝建の登録を目指すおぎ町並み保存推進委員会の代表が、現在の状況や街並みの保存、活用方法などを紹介しました。
重伝建の2つの地域は選定を受け、多くの人が訪れるようになった反面、現在積極的に活動している環境をどうやって後世に引き継いでいくのか考える必要があるなどの課題点も伝えられました。
この日、フォーラムに参加した人たちは、歴史的な町並みを活用しどのように地域を活性化させながら、維持していくのか改めて考えた1日になったようです。

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