家計からエコについて考える

脱炭素の実現に向け、市民に関心を持ってもらおうと「家計にも優しいエコのススメ」と題したセミナーが2月12日に開催されました。

「家計にも優しいエコのススメ」は、脱炭素先行地域である佐渡市が市民にエコな暮らしと掛け合わせ、脱炭素について今個々に何をすべきかを考えてもらうため開催したものです。
講演会には3名の講師が招かれ、初めに新潟県地球温暖化防止活動推進センターの米田和広センター長が、「今地球はどうなっているの~ゼロカーボンに取り組もう~」と題し講演を行いました。
米田さんは、ここ150年の地球の気温変化として、森林伐採や化石燃料を燃やす人間の影響で1年の平均気温が1℃上がり、近年では異常気象も増加。今後何もしないと2100年までに海面が1mも上昇してしまうと危機感を募らせました。

また、これまでとさほど変わらない生活を送るためには、世界の平均気温の上昇を1.5℃までに抑えなくてはいけない状況で、私たちも生活の中で多くのにCO₂を排出していることに意識を向け、CO₂削減に向けた取り組みを行ってほしいと話しました。
続いて、東京大学未来ビジョン研究センターの福士謙介教授が「再エネ・省エネ・脱炭素の取り組みが佐渡にもたらすメリット」と題した講演を行いました。
福士さんは、再生可能エネルギーの種類や特徴などを紹介したほか、自身が考える未来の佐渡のエネルギー構造なども示し、佐渡では自然再生エネルギーのみの自立型の社会が今ある技術でも構築できると話しました。

そして、脱炭素の取り組が佐渡にもたらすメリットとして、短期的には何も変わらないとした上で、取り組みを持続させていくことで様々な補助金を活用でき、脱炭素のホテルやレストラン、農産物を作ることでブランド化が進み、観光客や新たなビジネス誘致などが行えるのではないかと持論を展開しました。
最後に保険や金融サービス事業と連携し、多様なリスクへの解決策を提供するMS&ADインターリスク総研コンサルタントの関椋也さんが登壇しました。
関さんは、日本損害保険協会による2018年以降の保険金支払いランキングで台風や豪雨が上位を占めることについて触れました。

そして、災害を減らすためにも、日々の生活を見直す必要があるとして、冷蔵庫やエアコンなどの消費電力の大きなものは、最新機器を購入した方がエネルギーの消費を抑えられ、結果的に家計にも優しいと話しました。
そのほかにも、製造過程などでCO₂排出量をどれだけ削減できたかを表す新しい基準「デカボスコア」が示されているものを選んで購入するといった一人一人の行動が脱炭素を応援することになると締めくくりました。
そのほか会場では未来を担う子どもたちに環境問題や自動車産業の取り組みに理解を深めてもらおうと電気自動車のモデルカーを使った講座なども開催され、子どもたちは楽しみながら、エコな取り組みを学んでいました。

参加者は今回の催しを通して、脱炭素を改めて自分ごととして捉えているようでした。
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